現物出資を伴う
現物出資を伴った会社設立の場合の必要書類
会社設立の際には資本金を用意する必要があります。資本金の調達は現金が用いられますが、不動産や自動車、有価証券などといった現金以外のものも出資して資本金にあてることができます。
この現金以外の物資による出資は「現物出資」と呼びますが、会社設立時に現物出資を伴う場合、一連の手続きにおける必要書類はどのようにしなければならないのでしょうか。
会社設立時の現物出資は、発起人のみに認められています。
もし、現物出資を行う場合は定款に、現物の出資者の氏名または名称、出資する財産、財産の価格、財産の出資者に対して与える設立時発行株式数を書き加える必要があります。
また、設立登記申請を行う際には、出資した現物についての調査報告書と財産引継書、資本金の額の計上に関する設立時代表取締役による証明書も添付しなければなりません。
財産引継書と調査報告書が作成されるまでの手順は、まず現物を出資する発起人に会社設立時発行株式の引受が行われたら、その発起人は遅滞なく出資の対象となっている物を全て会社に納めます。
その後、財産引継書と調査報告書を作成します。
財産引継書には、現物を出資した発起人の氏名または名称と住所、および出資した財産の内容と価格を詳細に記載していきます。書類には発起人の実印を押印し、法務局から訂正を求められた場合のために捨印もしておきます。
一方、設立時の取締役と監査役は出資を受けた財産の価値が相当かどうかを調査します。
調査の結果、価値が相当であると結論付けられた場合は、取締役と監査役は調査報告書を作成します。
調査報告書には取締役と監査役全員の記名と押印が必要です。
財産引継書と調査報告書はインターネット上に作成例が紹介されているので、書類作成時にはこれを参考にしてすすめていくと良いです。
会社設立時に財産を出資する場合には注意が必要な点があります。
例えば、不動産や自動車などの高額のものを出資する場合は事前に名義変更の手続きを済ませておかなければなりません。
また、出資する現物の財産の総額が500万円を超える場合は定款認証後に裁判所に検査役の選任を申し立てて、財産の調査を受ける必要があります。
この他にも注意すべき点は様々あります。
現物出資は手持ちの現金が少なくて用意できない場合に役に立ちますが、現金による出資と比較して設立登記申請時の必要書類の種類も増え、作業量が増えます。
また、設立する会社や発起人個人に税金の負担が生じる可能性があります。
財産を出資する場合は、発起人同士でよく考えてから行うようにしましょう。